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リレー日記

四年間 青春の延長戦として

投稿日時:2024/03/31(日) 23:43

高校3年生の秋、最後の花園予選で負けたとき「もう今後、ここまで綺麗な涙は流せない」と思った。
大学でラグビーを続けるなんて発想は微塵もなかった。普通の大学生として、サークル活動や勉強に打ち込み、卒業する。その過程の中に悔し涙や嬉し涙があるとは想像もしていなかった。

大学一年の秋、畑村さんからLINEが届いた。なんでバレてんだよという気持ちの方が強かったと思う。聞けば想大が話をしていたのだという。そこから数回部活の見学に行って陽や高山と出会った。しかし、一年のときは勉強とバイトを言い訳に部活から逃げ回っていたのも事実だ。当時の四年生にはとても申し訳なく思う。

本格的に入部を決めたのは2年生になってからだ。高校のとき、もう二度とやらないと啖呵を切って引退したのにまさか体育会系の部活に入るとは。一番驚いていたのは自分だった気がする。でも、賑やかな同期や優しい先輩に恵まれ、部活自体はとても楽しかった。
初めてのリーグ戦、初戦から出場機会を得た。木内さんの悔し涙を見て、それに恥じないプレーをしようと意気込んでいた。しかし、大学ラグビーの強度に体がついていかなかった。タックルをしても全く止まる気配がない。結局その日の試合でいいプレーは一つもできなかった。
悔しくて泣いた。
久しぶりの感覚だった。まさか、大学でもこんなにあつい涙を流すことがあるとは思わなかった。そこから、勉強はそこそこに部活に打ち込むようになった。

三年のリーグ戦。前年とは違い、主力として全試合先発出場させていただいた。内藤さんたちに引っ張られ三部の強敵と堂々と渡り合えた。この年は、数点差で負けることが続いていたこともあり、防衛大戦から入れ替え戦まで毎回悔し涙を流していた。多分、同期からはなんで毎回泣いてんだよと思われていただろう。この辺りで、自分は割と涙脆いんじゃないかと自覚するようにもなった。

そして、自分たちの代になった。実は、部活は3年で引退し、予備試験や大学院入試の勉強に専念しようと考えていた。同期にもその旨は伝えていた。六福苑で主将決めをした。まさか自分に白羽の矢が立つとは思っていなかった。ラグビーが一番うまいわけでもなく、ラグビーを知っているわけでもない自分が主将になるとは想像もつかなかった。その日から、「勉強はいつでもできる。今しかできないラグビーを、悔いが残らないよう全力でやろう。」と自分に言い聞かせるようになった。実際、法律の勉強に割く時間は減り、代わりにラグビーの試合や練習をみて部活に還元しようとしていた。

最後のリーグ戦。一試合も勝てなかった。泣けなかった。
肝心なところでぶれてしまっていたのかもしれない。2週連続で試合をし、空いた週で院試を受験する。幸いなことに試合と試験が重なったことは一度もなかったが、100%の力を部活に注げていたかというと、そうではなかった。前年、確かに感じていた三部上位との力量の差の縮まりを、台無しにしてしまった。リーグ戦中の約3ヶ月間は本当にきつかった。それでも同期や後輩、院生の方々に支えられ全日程を走り切ることはできた。
そして迎えた入れ替え戦。この試合だけでも勝って後輩に三部のステージを残そう、その一心で戦った。後半に追い上げられ、あと1点で逆転されてしまう、まずい。そう思ったときに試合終了の笛が鳴った。逃げ切ることができた。
その瞬間、今まで流れなかった涙が自然と溢れてきた。
今までとは違う、悔しさからでも嬉しさからでもない、安心感と解放感から溢れた涙だった。
それでも、本気で取り組んできた結果の綺麗な涙だったと思う。

この4年間は、自分にとっていわば青春の延長戦であった。高校3年生のときに二度と味わえないと思ったものを何度も味わうことができた。いや、もしかしたらそれ以上の感動があったのかもしれない。きっとそうだろう。

この先、もしかしたらこんなに綺麗な涙は流せないかもしれないし、そうではないかもしれない。それでもこの4年間で部活を通して得た経験や友人はかけがえのないものになっていく、と思う。

この春大学に入学し、4年間の過ごし方を熟慮している皆様、もしこれを読んでいるなら(いないだろうけど)部活という選択肢があることを頭の片隅に置いておいてほしい。誰もが想像するような大学生の青春とは違うかもしれないけれど、ここにも確かに青春はあるということを。

長々と書いてしまいましたが最後に、先輩、同期、後輩、大西先生や加藤コーチ、関わってくれた全ての人たちに、そして、支えてくれた両親に感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

以上、金目組でした。康平、左右田君あとは任せた。

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